心の不調を仕事に活かす

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 なんでもかんでも値上げをするご時世です。わたしの勤め先でも、4月からサービス料金が値上がりすることになりました。これを説明・お願いするために、ご利用者に1件1件電話をする作業をしております。人によりますが、おおむね数十円~数百円/月の値上げです。
 家庭の懐事情によっては「微々たる金額」かもしれませんし、「生活を激変させるほどの大金」かもしれません。

 なので、これを説明するのもお願いするのも非常に心苦しいです。ここのところの不意の動悸と重なって、電話する度にドキドキしています。ドキドキプリキュアです。響け愛の鼓動。

 わたしは役者ではありませんので、相手に「値上げという一方的で無理なお願い」を快諾して頂けるような演技はできません。そもそも表情に乏しい・声に抑揚が無い・感情を読み取れないと人事から評される程度には、対人コミュニケーションに向かない特徴を揃えています。
 演技も出来なければ、基本的な感情を伝えることもできないとくれば、「誠心誠意頭を下げる」という正攻法しかありません。電話口でも頭を下げているのがわかるぐらいに「申し訳ない」という気持ちが伝わればミッションコンプリートです。

 おあつらえ向きなことに、心の不調により「生きていてごめんなさい」が最近わたしの周りをうろついています。これがわたしの心を訪れている時は、それはもう申し訳なさそうに頭を下げられるようなのです。電話先の相手から「声の調子から何千円も値上げするのかと思った」という旨の反応を返されてしまったぐらいには。
 「値上げになってしまって申し訳ない」という気持ちに「そもそもわたしなぞが生きていて申し訳ない」を乗せて電話をしているおかげか、今のところ1件も揉めずに済んでいます。「そちらも大変ね」と理解を示して下さる方も少なくないです。わたしは人間嫌いですが、わたしに優しくしてくれる相手には態度を大幅に軟化させます。俗な言い方をすれば、デレます。心身の具合が悪い時ならなおさらです。それ故に、一層「値上げして申し訳ない」という気持ちが強まって、次の電話にも臨めるという永久機関です。わたしの心的負担は考えに入れないものとする。


 能力に劣るのだから、「使えるものは何でも使う」の精神でいかなければ「出来る人」との差は埋まりません。
 サラリーマンですので、過程はどうあれ結果が重視されます。ネガティブな感情を武器にしようと、課された仕事をこなせれば誰も文句は無いはずです。
 今週~来週は通常業務を片付けつつ、スキマの時間にずっと電話をかけて過ごします。件数が片付くのが先か、ネガティブ感情を意識しすぎてわたしが気を病むのが先かの勝負です。

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