仕事で褒められて嬉しいのは

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 わたしは電動ベッドや車いすといった福祉用具を扱う仕事をしているわけですが、現場にて、これらの道具が褒められるととても嬉しい気持ちになります。「この歩行器を使って買い物に行くの。これが無いと外に出られないから、すごく助かっているのよ」といったお褒めの言葉を頂けると、嬉しいです。
 褒められているのはわたしではなくて道具の方ですが、その道具の選定や調整・点検を行う仕事柄、自然わたしも嬉しくなります。人の役に立つ為に作られたものが、その役目を全うしている姿を見るのは好きです。
 
 道具はあくまで道具ですが、「もう何年も使っていて経年劣化があるので、同じ機種で新しいものに取り替えましょうか」と打診した際に「ずっと使っていて愛着がわいてるから、この子をこのまま使いたい」などと言われた日には、1日よい気持ちで過ごせます。その子の点検も張り切って行います。もちろん、取り替えになった場合も、役目を終えた道具に「お疲れ様」の気持ちをもって引き上げます。
 


 わたし自身を褒めて頂けた時も、終日機嫌よく過ごせます。気難しい(と言われている)方から「俺はあんたの腕を買ってるんだ」と言われるのはやはり嬉しいです。微笑みの爆弾です。
 わたしの人格に問題があることは折り込み済みで、技術や接遇を評価していただけるのは素直に喜べます。掃いて捨ててもまだ余るほどに同業者が多い中で、わたしひとりに世辞を言って取り入る理由もありませんから、嘘ではないのだと安心して受け取れます。褒められたことそのものもそうですが、喜んでもらえたということを疑わずに済むのが精神衛生にとてもよいです。

 あと、こちらは世辞かどうかの判断に悩みますが、「品がよい」「育ちがよい」と褒められるのも嬉しいです。これはわたしの人格ではなく、母の成果を褒められているわけですから。

 人間嫌いを公言しているわたしですが、わたしに優しい言葉をくれる人には(比較的)やわらかい態度で対応をしています。優しさには優しさで返すのが礼儀です。わたしは自身をヒトモドキと称することもありますが、だからこそ、優しくされた分だけつけあがって相手を利用するという「人間らしさ」を切り離すのもよいでしょう。


 これがあるから、現場仕事のほうが好きです。現場での仕事は、不愛想でも、冗談が言えなくても、もっと言えば「人の心がない」としても、相手は腕前を見てくれます。
 事務所での仕事は、職場の人間のご機嫌をとりつづけなければコミュニケーション不全扱いをされます。嫌ですね。
 


 道具が褒められても嬉しい。わたしの仕事振りを褒めてもらえても嬉しい。
 ずっと現場仕事だけしていたいです。

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