何事も「自分の為に」を忘れずに

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 これは昔から思っていることなのですが、「あなたの為に」という言葉は「あなたの所為で」と近似なのではないでしょうか。「私は、あなたの為に○○をしている」は、つまり「私は、あなたの所為で○○をさせられている」という責任転嫁ではないかと、折に触れて思うのです。そのような押し付けの責任は、受ける側からすれば迷惑に感じられることもあるでしょう。一方で、自分の責任を手放す側も、なんでもかんでも他人の所為にするうちに腐れてしまう部分があると思います。


 憧れのヒーロー……のおばあちゃんに曰く「世界は自分を中心に回っている。そう思った方が楽しい」
 おばあちゃんの真意や天の道を往く人の捉え方はさておき、わたしはこの言葉を「世界の中心は自分なのだから、自分の行動により世界に生じる責任は自分で担う。それができるから、楽しめる」と解釈しています。自分の行動の責任は、他人ではなく自分にあるのです。

 或いは、別のヒーローに曰く「自分のハンドルは自分で握る」
 これもまた、近しい意味で理解しています。誰の為でもなく、自分の為に、自分の判断・意思で行動するという指針です。


 怪人あくやく側であるわたしがヒーローの言葉を指針にするのは、些か滑稽でしょうか。でしたら、「悪役」の言葉も引用させて頂きましょう。
 曰く「すべては、あたしの幸福のために。つまり、あたしの私利私欲のために」と。……「悪役」判定に異議のある方もいらっしゃるでしょうが、大目に見て下さい。

 
 最初の話に戻りまして、「あなたの為に」は、自身の責任を相手に押し付けることにつながる動機付けです。何事においても、まずは「自分の為に」に基づいた言行を心掛けるのがよいでしょう。「相手の為」と思っている行動だって、紐解いていけば、「相手(や周囲の人物)に好かれたいから」とか「相手を操作すれば自身の利得につながるから」といった下心が見えてきます。それらを自覚して「自分の為」で動けば、返ってくる結果を「自分で選んだことだから」と受け止められます。


 誰の為でもなく、自分の為に。自分の望みに基づいて、自分の責任で行うのだと忘れないようにしたいものです。たとえば、仕事で自爆営業をしたところで、何を得るわけでもありません。せっかく見えた蓄財の兆しが台無しになったところで、それは自分の選択による結果です。……他人の為に身銭を切るという選択を軽率に採る癖は改めるべきですね。そんな後悔を伴おうと、他人のせいにしてはいけません。「あなたの為に、わたしがお金を出した」のではなく、「あなたに関わる仕事を、わたしがお金で解決した」のです。手間を惜しんで、安易な道を選ぶのなら、失うものもあるでしょう。
 わたしらしく、悪役らしく、開き直りと無責任なセリフを用いるのなら、「全部わたしのせいだ!」ということです。


 わたしがストーカーになったのは距離感を誤ったせいで、距離感を誤ったのは高校で対人観をこじらせたからで、コミュニケーション能力の不足は父性不在のコンプレックスからで、父性の不在はわたしがかすがいになれなかったからで、つまり、全部わたしのせいです。わたしのせいだよ、湊くん。
 やはり、自分の行動の責任は、自分にあるのだと知っておかないといけませんね。


 押しつけがましいのは嫌いです。自分がやられて嫌なことは、他人にも向けるべきではありません。だから、「あなたの為に」と押し付けないようにしたいです。何事も「自分の為に」を忘れずに。



 

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