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おまけと食べ物問題は昔からある
先日、3日間限定で付属するポケモンカードを目当てに、マクドナルドのハッピーセットを買いに行きました。結果として、行列を見て購入を諦めたわけですが、その後にSNSを見たところ、なんだか随分ひどい事態になっているようです。
一定数の転売屋が発生するとは思っていましたが、その予想を超えて、ハッピーセットからカードだけを抜き出して、飲食品を店舗内外に捨て置いて立ち去るというケースが頻出したそうです。「食べ物を粗末にしてはいけない」というのは物心ついたころから教わるようなことだと思っていたので、まさか大量の食べものを捨てていく輩がいるとは思いもしませんでした。文化の違いですね。
ただ、これを見て「人々のマナーが悪くなった」と嘆くのは、少し違うと思います。50年も前の昭和の頃、仮面ライダースナックからおまけのカードだけを取って、お菓子を捨てる子どもたちが社会問題になったという話があります。ビックリマンチョコでも同様のことが問題になっていたとも聞きます。令和の世になって、食べ物を捨てる人間が急に現れたのではなく、昔からそういったことを咎める心のない人々はいたわけです。
オタク趣味と食べ物の悩み
オタク趣味(個人的に『オタク』という表現に思うところはありますが、今回はこのように呼びます)に関連づく玩具の収集癖と、お菓子を持て余すことは切り離せない悩みです。先にも挙げました仮面ライダースナックやビックリマンチョコのような食玩(食品玩具)の販売は、現代まで脈々と続いています。シールやカード、小さなフィギュアなど、コレクション性のある玩具がランダムで同梱されたお菓子が、スーパーやコンビニ、家電量販店などで売られています。
同じランダム商品でも、カプセルトイであれば困ることはないのですが、食玩は買えば買っただけ、目当ての玩具のほかにお菓子が手元に残ります。スナック菓子だったりチョコレートだったり、ラムネやガムであったり、ひとつふたつならば気にならないようなものですが、10個20個といった単位で「大人買い」をするオタクは、このお菓子をどう処理するかに頭を悩ませることになります。

また、食玩以外でも、玩具を手に入れる度にお菓子が手元に増えることもあります。↑の画像はつい先日セブンイレブンでもらってきたキャンペーン品の遊戯王カードですが、キャンペーンの内容が「対象のお菓子3つ購入ごとに1枚カードをプレゼント」というものでした。カードと共に写っているハイチュウが、そのお菓子になります。
これら大量のお菓子をどうするかというのは、オタクの長年の悩みなのではないでしょうか。家族や知人に配ったり、味に飽きがこないようアレンジレシピで食べてみたり……人それぞれに対策をとっているものと思います。
わたしの場合は、目当ての玩具を求めて一時期食べすぎてしまったせいで、バニラ味のウエハースに対して些か以上の飽きを感じています。なので、バニラウエハースに玩具が付属する食玩は買わないという形でフードロスを起こさないよう個人的な対策としています。
フードロスを招くのはおまけだけではない
今回話題になっているハッピーセットや、過去の仮面ライダースナックなど、おまけ目当てに食品が捨てられるのは当然問題なのですが、おまけが付くわけでもないのに買った飲食品を消費せず無駄にするというケースがあるとも聞きます。
数年前に、タピオカドリンクが主に若者の間で流行した頃のことです。この流行は、単純に飲食品としてのそれを楽しむだけでなく、タピオカドリンクの写真を撮ってSNSに投稿することも購入目的のひとつとなっていました。「タピ活」という耳慣れない言葉で呼ばれたこともあるそうですね。タピ活……字面だけだと、死活に似ていますね。
さて、写真を撮ったあとのタピオカドリンクがどうするのかというのが、個々人の観念を問われる部分です。多くの人は、写真を撮ったのなら後は飲むに決まっていると答えるでしょう。しかし、口を付けずに路上に捨て置いたり、最後まで飲み切らずに残った分をカップごと道端に捨てたりというケースがあったようです。タピオカドリンクという飲食品を、SNSでの「いいね」をもらうために、まるで使い捨ての宝飾品のように扱う人がいたのだそうです。
タピオカドリンクにおまけが付いているわけでもないし、(偏見を含んだ言い方ですが)オタクとは異なる層の人間によるものです。「おまけを目当てに食べ物を粗末にする」ことだけが問題ではなく、飲食品を消費せずに捨てるのが特定の層(オタクや転売屋)だけではないということがわかります。
おわりに:結局個人のモラルを問われる
今回のハッピーセットのフードロス問題について、おまけがついているのがいけないとか、転売屋が殺到するような稀少価値をアピールするのがいけないとか、いろいろと意見が飛び交っているのを目にしました。それらはたしかに原因のひとつではあるのだと思います。しかし、タピオカドリンクの件のように、飲食品を別の何かの目的のために踏み台にする人間はどこかに現れるものです。「おまけがついているのが悪い」と単純に断じられるものではありません。
「食べ物を粗末にしてはいけない」というのが当たり前のこととして捉えられるか否かは、結局、個々人のモラルに頼る部分が大きいのです。
幼い頃に肉親から「お米には神様が宿っている」と聞かされたか、アニメ版の「忍たま乱太郎」を観て食堂のおばちゃんの「お残しは許しまへんでー!」を聞いたか、「アンパンマン」の尊さを知ることができたか、アンデルセンの「パンをふんだ娘」を読んだか……。おまけ付きの食品を大人買いできるような歳になるまで、SNSで「映え」を意識するような歳になるまでに、食べ物を捨てることを咎める良心が育つかどうかには、どうしても個人差があるでしょう。
食べ物が粗末にされる光景に心が痛んだのなら、我々にできることは「自分はそのようなことをしない」「身の回りの次世代がそのように育たないようにする」のふたつです。企業等に対して「おまけなんてつけるからいけない!」と石を投げるのは、然して建設的な行動ではありません。
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