己の欲せざる言葉を人に施すことなかれ

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冒頭文

 おはようございます。寮長ゴッドに言葉に従ってジャパン語は正しく美しく使いたい典藻のりもキロクです。
 使えていませんけれど。

 前回の記事の中で、わたし自身を指して「メンヘラ」という言葉を使ったのですが、思い返すとあまり上品な表現ではなかったです。
 インターネットに触れていると感覚がマヒしてしまいますが、読んだ方が不快になるかもしれない境界線を越えている言葉だと思います。

 以前に「オタク」という言葉は尊称であるはずという記事を書きましたが、メンヘラもまた近年に浸透が進むにつれ、あまりに気軽に扱われすぎているように感じます。

 

「メンヘラ」とは何か

 「メンヘラ」という言葉があります。
 手元の辞書には載っていませんし、web検索をしてみたところ、インターネット発祥のスラングであるようです。

 語源はメンタルヘルスの略である「メンヘル」。これが変じてメンヘラとなったらしいです。
 メンタルヘルスを語源に持つことと、使用されている文脈を読むに、この語の意味合いとしては「精神状態の不安定な人」や診断を受けた「精神病者」を指すものとして扱われることが多いように思います。
 スラングであるからには厳密にどういう意味かが定まっているものでもないと思いますので、「大体そんな感じだろう」といった曖昧な捉え方であっても扱いとしては問題ないと考えます。

 つまり割かし気軽に使われているメンヘラという言葉は、対象を「精神病者またはその疑いのある者」と呼んでいるようなものでしょう。
 強い言葉あるいは時代錯誤な言葉で表現するのなら、「異常者」や「キチガイ」に類するものでしょう。いや、微妙にニュアンスが違う気もしますが、言葉が指すものの方向性はそんなところだと思います。

自分が言われて嫌な言葉は使わないようにする

 当ブログをお読み頂けている方ならご存じかとは思いますが、典藻は細かい言葉に変にこだわる癖があります。別の癖とあわせて妻から「息苦しそうな生き方」と言われるぐらいには。

 なので(?)、自分が言われて嫌な言葉は日常的に意識して口にしないようにしています。主にかつて言われて嫌だった言葉ですね。恨めしい。
 「自分がやられて嫌なことは、他人にしてはいけない」というのは随分幼い頃に先生に習った気がします。幼い日に受けた教えを守れているわたしは優等生。
 同じく幼い日……小学校1年か2年の頃に担任の先生に三点リーダーは偶数個で1セットであると教えられて以来、「自分の文章」では守り続けているのも優等生。人呼んで三点リーダー警察。

 話が逸れましたが、嫌な言葉は口にしないようにしています。
 たまに油断してぽろっと出てしまうことはあります。反省点です。

 ただ、この「言われて嫌な言葉」というのは、実のところ図星の指摘ではあるのです。
 自分でわかっていても直せない欠点だから、わざわざ他人から指摘されると不快に感じるのです。

 たしかにわたしは頭が悪いでしょうが「バカ」と言われたくはない。
 たしかにわたしは太っているでしょうが「デブ」と言われたくはない。
 たしかにわたしは敏捷性に劣るでしょうが「ノロマ」と言われたくはない。

 そして、たしかにわたしは精神不安定でしょうが「メンヘラ」と言われたくはない。……先だって自称してしまいましたが。

 医師の診断を受けたわけでもないのに気軽に「病む」だとか「鬱になる」だとか口にするのも嫌ですが、同じく診断能力も無いのに認定をするのも嫌です。あくまで、わたしがそう心がけているということです。
 わたし自身もそうですが、好きで「そういう状態」になっているわけではないのです。むしろ「そういう状態」でもどうにかこうにか、何かこう、どうにかしているのです。わたしだって認知を歪めず正常な世界を見て生きたいですよコノヤロー。

 失敬。素が出て……いえ、言葉が荒くなりました。

 「言われて嫌な言葉」は自分が一番よく分かっている欠点であり弱点なのです。
 わかっているからいちいち言わないでほしいのです。平たく言えば、余計なお世話です。
 そんな余計なお世話の煮凝りのようなバカ、デブ、ノロマ、あとメンヘラは口にするだけで自分もダメージを受けます。

接頭語をつけてみる

 とはいえ、モノは言いよう使いよう。この世に必要のないものなんて無いというようなことを、わたしの英雄 遊星さんも言っていた気がします。
 であれば、侮蔑の言葉であっても、蔑む以外に使いようがあるかもしれません。
 その思いつきの答えを求め、典藻は一路、アマゾンの奥地に……は向かわず、いつものコタツ記事を書くのです。

 大抵のモノは火を通せば食べれるように、大抵の言葉は接頭語が付けば丁寧に聞こえるものです。
 実に簡単なことです。試しに先の言葉たちに接頭語をつけてみます。

 おバカ、おデブ、おノロマ、おメンヘラ。
 後ろふたつはともかくとして、前ふたつはだいぶ語感が柔らかくなった気がします。

 というか、「おバカ」に関しては寧ろ愛情を感じます。相手によるというのは大前提として、ちょっと言われたいフレーズですね。
 いや、これよいですね。なにか新しい発見をした気分です。ノーベル何か賞とか頂けそうです。
 ※個人の感想です。

 「おデブ」もちょっとよいですね。ちょっとだけですが。
 こう、具体的には思いつきませんが、使いこなせればカワイイ表現に活かせそうな気がします。
 誰かわたしに知見を授けてくれ。ティガ勇気を授けてくれ。
 ……わたしの性癖? なんの話ですか?

おわりに

 なにか話が脱線しましたが、とりあえず自分の言われたくない言葉は他人にも言わないという話でした。
 しかし「メンヘラ」という呼び方は世にあふれてしまっています。自分が言われているわけでなくても流れ弾に襲われることはあります。

 いえ、実際に便利な言葉だとは思います。
 「精神不安定。あるいは精神病者やその疑いのある者。それらの傾向がみられる者」のような意味をたった4文字で表せるのですから。
 単に精神病者という事実を指すのであれば、そこに侮蔑や罵倒の意図は含まれませんし、普段遣いに便利であるという事は理解しております。便利な道具ことばは生活を豊かにするのでどんどん使っていくべきなのでしょう。

 なので、単純にわたしの個人的な好き嫌いの話です。わたしがショウガを食べられないのと同程度の話です。

 しかし、ショウガを食べないように献立を決めるように自衛はしたいところです。そこで、わたしは考えました。
 今後はこれを別の言葉の略称として捉えることでダメージを無効化しようと思います。
 メンデレーエフとヘラジカ。これでいきます。

 これにより、仮に面と向かって「オマエ、メンヘラ」と言われたとしても「メンデレーエフとヘラジカ……? いったい何の暗号だ?」という訳の分からない感想を抱くだけで済みます。
 逆に不意の時に自分が使ってしまうということも回避できます。だって、日常生活で「メンデレーエフとヘラジカ」をわざわざ略して口にする機会なんてありませんから。

 歪んだ認知を抱えているのなら、あえて自分の認知を歪めて事故を回避するという機転。わたしは案外頭がよいのかもしれません。ふふふ。

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