もうずいぶん昔のことにはなりますが、わたしが新社会人として福祉の仕事に就いたときのことです。当時の直属の上司から仕事内容を教わるなかで、業務の手順ではなく、心得として聞かされたものがあります。
「〇〇くんが『人間嫌い』で、この仕事がしんどいとか合わないとか思っても、まずは3年続けてほしい」
わたしが「人間嫌い」であるというのは、やましことでもありませんから、隠してはいません。それを聞いた上で、福祉の仕事をやってみてほしいと上司は口にしていました。
なんだかんだで同じ職種を10年近く続けてはいますが、実際のところ、他人と関わる仕事というのが、わたしに向いているとは今でも考えていません。いつだったかの研修でグループワークをした折、「詐欺師に向いている」という評を頂いた程度には、その場しのぎの口から出まかせが巧いらしいので、刹那的なコミュニケーションであれば当たり障りなくこなします。おかげさまで、どうにかなっています。
仕事でしんどいと思うことは、当然あります。職種自体に、急な休日出勤だとか、性質上代行を頼めないから私用を捨てざるを得ない時があるとかという時間面のストレスがあります。これは今でも変わりません。
新社会人として入職した前職場は、いわゆる「お局さん」の存在がしんどかったです。当時新人のわたしの不勉強を「そんなことも知らないでこの仕事に就いたなんて信じられない」と大げさに言い立てたことに始り、退職直前の時にまで嫌味のメールを送ってきてくれました。
わたしに心得を教えてくれた上司が辞めたあとに役職に就いた人間とも相性がよくありませんでした。「100円でも200円でもいいから売り上げを上げろ! 仕事をとってこい!」というから、それなりに大口の仕事をもらってくれば、「そんなに大変そうな仕事、なんで請けたの?」と小言をぶつけてきたのが印象に残っています。
次の仕事まで時間があるからと資料を読むよう指示を受け、その通りにしていれば「そんなもの読んでる暇があったら、別の仕事を探してとりかかれ!」と言う人もいました。
ほかの人が消したデータについて、その時その場にいなかったわたしが見ていなかったせいだと叱責を受けたこともありました。
これらに関しては、いま思い返しても理不尽ですね。
仕事自体や職場にしんどい、合わないと思ったことはありましたが、無能力故にほかに出来る仕事もありませんし、なにより上司の教えがありましたので、「まずは3年」と思い続けて、なんだかんだと過ごしていました。
石の上で3年過ごしてみたところで、嫌味やダブルスタンダードへの耐性もつきました。
その後に偶然に再開した上司と昔話をした際には、「正直、〇〇くんはすぐに辞めちゃうんじゃないかと思ってた。よく頑張ってくれた」と評価していただけたので、耐えた甲斐はありました。
自分の適性や成長を見出すには年数を要します。なんでもかんでもハラスメントと呼んで、軽い気持ちでブラックだとかホワイトだとか職場を評価したがる世情に反した言い分ではありますが、まずは続けてみることが大事なのだと、わたしは思っています。出来ることしかやらないのなら、出来ないことはいつまで経っても出来ないままですから、出来るようになるまで続けるのも、時には必要なのではないかと。
新社会人の心得「まずは3年続けてみること」

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