社会人として心が挫けそうだったとき、「ウルトラマンオーブ」に救われた典藻キロクです。オーブ放送もすでに9年前……。時が経つのは早いものです。9年前に買ったDXオーブリングが今でも動作するあたり、バンダイの玩具は頑丈です。
今回は、思い出深い「ウルトラマンオーブ」に登場する合体魔王獣ゼッパンドンについての話をしたいと思います。
都合上、「ウルトラマンオーブ」と「ウルトラマンZ」でのゼッパンドン関連のネタバレを含みますので、ご注意ください。ゼッパンドン関連のネタバレって何だ。
また、記事内にてゼッパンドンほかを指して「怪獣」と称しますが、これは広義の意味でということです。広義の意味では、超獣も円盤生物も邪神も根源破滅天使もスペースビーストも魔王獣も「怪獣」です。ご了承ください。
合体魔王獣ゼッパンドン




合体魔王獣ゼッパンドンは特撮ドラマ作品「ウルトラマンオーブ」に登場する怪獣です。二つ名の通り、劇中で複数の怪獣の力が合体することで生まれた存在です。作品の主人公であるウルトラマンオーブの好敵手・ジャグラス ジャグラーが変身しました。
作品の中ボス怪獣の1対である大魔王獣マガオロチの尻尾に、宇宙恐竜ゼットンと双頭怪獣パンドンの力を注ぎ込んだことで誕生しました。
設定上の身長は60m、体重は45,000t(『愛蔵版 ウルトラマンオーブ 完全超全集』より)です。
ゼットンのようにシールドを張ったり、瞬間移動をしたり、火を噴いたりします。
ラスボス怪獣の合体というロマン


先の通り、ゼッパンドンは初代「ウルトラマン」のラスボスであるゼットンと、「ウルトラセブン」の最後の敵であるパンドンが合体しています。
ウルトラマンを倒したつえーやつと、体調不良のセブンを苦戦させたつえーやつの合体です。つえーやつ同士の合体だなんて、ロマンがあるじゃないですか。「つえーやつ同士の合体」という要素だけなら、ほぼゴジータです。ゼットンとパンドンでゼッパンドンという命名則もあちらと似ています。存在自体がロマン溢れる怪獣です。
外見の特徴
ゼッパンドンの二つ名は合体魔王獣です。つまりは、合体している宇宙恐竜ゼットンでも双頭怪獣パンドンでも、変身者である夢幻魔人ジャグラスジャグラーでもなく、素材として使用されている大魔王獣マガオロチの要素がメインになっている名前です。
名は体を表すということで、魔王獣であるマガオロチのような体型をメインとして、ゼットンとパンドンの意匠を取り込んだような姿になっているものと考えます。下記画像のように、各部にゼットンやパンドンの要素を見つけることができます(尻尾はマガオロチ要素ですが)。




こうして見ると、各部に元の怪獣の特徴を取り入れつつ、しかし、ゼットンでもパンドンでもない新しい怪獣として新生している良デザインになっています。
書籍「愛蔵版 ウルトラマンオーブ 完全超全集」内にあるデザイン画のメモによれば、燃え上がる炎のようなゼッパンドンの両肩は、元のパンドンのデザインを意識したものだそうです。
劇中での活躍
ウルトラマンオーブの引き立て役として

特撮ドラマ作品において、怪獣や怪人の役割は基本的に「やられ役」になります。ヒーローの魅力を引き立てて散るのが悪役としての華といってもよいです。アカネくんステイ。
その点において、ゼッパンドンは素晴らしい引き立て役です。
苦労して倒したボス怪獣であるマガオロチを元にして誕生し、精神的に弱っているオーブを1度は退けました。そして、再戦時には、真の力に覚醒したオーブに見事に打ち倒されます。ヒーローの新しい力の強さバロメータとしてこれ以上ない活躍です。
魔王獣にはじまり、宇宙人、超獣、円盤生物、等々の強力な怪獣が立て続けに登場する「ウルトラマンオーブ」の中にあって、オーブの新しい姿のお披露目の相手として、見事な役どころでした。
「おかりします!」

本編ではオーブの前に立ちはだかったゼッパンドンですが、本編後の物語である「劇場版ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!」にて一時的な味方として再登場します。
主人公であるガイがオーブに変身する際の掛け声である「ウルトラマンさん! ティガさん! 光の力、おかりします!」を真似て、「ゼットンさん! パンドンさん! 闇の力、おかりします!」とジャグラーが言うサービス付きです。変身バンクまであります。
「それなりの強さ」を持つ心強い味方としての登場に、劇場版ならではの特別感を覚えてワクワクします。
お待たせしました再登場

「ウルトラマンオーブ」から4つ後の作品である「ウルトラマンZ」にて、ジャグラーと演者を同じくするヘビクラ・ショウタが登場します。
名前がヘビクラ→蛇倉→ジャクラと読めることや、わざわざジャグラー役の青柳尊哉氏が演じることから、「Z」の放送当初から、ファンの間では、ヘビクラはジャグラーなのではないかという予想がされていました。
案の定、ヘビクラはジャグラー本人だったことが物語の進行と共に視聴者に明かされます。「ウルトラマンジード」から客演した朝倉リクを含めて、作中人物たちは「オーブ」本編でのジャグラーを知りませんので、視聴者のみが「ジャグジャグじゃん!」「闇の仕草!」と盛り上がることになっていました。
過去作キャラが同一人物設定で、後の作品にレギュラー出演するという点で「ウルトラマンレオ」におけるモロボシ・ダンに似るものがあります。
せっかくのジャグラーの出演ですから、ゼッパンドンの再登場も当然ファンは期待するわけです。その期待をわかっているかのように、そして視聴者に向けるかのように「お待たせしました」という言葉と共に、「Z」でもジャグラーはゼッパンドンに変身しました。知ってたし、待ってた。ファンサービスが過ぎる。
絶版フレンズ

インターネット上では、絶版丼のニックネームで呼ばれることもあるのがゼッパンドンです。絶版とは何とも縁起の悪い呼び名です。
さて、ウルトラマンシリーズではありませんが、同じく特撮ドラマのジャンル内で、絶版おじさんとして親しまれ 愛され 名を知られるキャラクターがいます。「絶版だぁ」という口癖が印象的な壇正宗/仮面ライダークロノスです。正宗は「仮面ライダーエグゼイド」に登場するキャラクターであり、制作会社も違う「ウルトラマンオーブ」のゼッパンドンとは何の関係もないように見えます。
はい。実際、何の関係もありません。特撮で「絶版」の名で呼ばれる者といえば、正宗の印象が強かろうと思い、触れておきました。
絶版丼の「ウルトラマンオーブ」放送終了からおよそ5か月後に「仮面ライダーエグゼイド」内で絶版おじさんがボスキャラとして動き始めます。キャラクターとしての関係はまるでありませんが、わりと近い時期で活躍した絶版フレンズではあります。
「ウルトラマンオーブ」でいちばん好きな怪獣と問われれば

ところで、妻はマガバッサーが好きです。「バッサー」と呼んで親しんでいます。グエバッサーやライバッサーよりも、マガバッサーが好きです。見た目のかわいさ(妻基準)に反して、登場回での暴れっぷりが印象的だったそうで、特撮怪獣を見るたびに被害規模を「バッサーレベル」「バッサーよりはマシ」と測っています。
で、わたしがいちばん好きな「オーブ」の怪獣はと問われれば、それはもちろんゼッパンドン…………ではないのです。
わたしがいちばん好きな「オーブ」怪獣はマガオロチです。なら、どうしてゼッパンドンをやたらと持ち上げるのかという疑問がおありでしょうか。いえ、だってマガオロチの尻尾がついていますし、物語的な繋がりとしても、強敵であるマガオロチを伏線として登場したゼッパンドンにはやはり魅力があるのです。
ちなみに、「オーブ」怪獣という括りでなく、合体怪獣という括りで言うのなら、ペダニウムゼットンが好きです。
ゼッパンドンはマスコット
ゼッパンドンが強敵の1体であることは間違いないのですが、「オーブ」を通して観ると、その印象は薄くなります。対戦時のオーブが弱っていたということもあり、それまでに戦ったマガオロチやギャラクトロンのような絶望感はありません。
名ヴィランであるジャグラーが中に入っていることで動きに人間味があったり、名前のキャッチーさ、絶版丼というあだ名、客演時には美味しいタイミングで登場するという点から、大変に親しまれる怪獣であると思います。その姿は強敵というより、マスコットにも見えます。
ブースカ、カネゴン、ガヴァドン、ピグモン、ハネジロー……数多くいる円谷マスコット怪獣の1体として、ゼッパンドンを数えてもよいのではないでしょうか。
おわりに
ゼッパンドンの魅力について、伝わりましたでしょうか。
ゼッパンドンはやられ役として十分な活躍をしていて、デザイン面に元になる怪獣が見られて合体怪獣らしさがあるよいキャラクターです。動きの人間味と美味しい出番に、マスコット感もあります。
あるいは個人ブログの慣例に倣い、「ゼッパンドンとは? 年収は? 前世は? 恋人はいるの?」というような記事でも書くべきだったかもしれません。
ゼッパンドンとは、合体魔王獣。年収はわかりません。前世はマガオロチ。恋人は……ジャグラーの、ということならば、設定上で語られるところのビランキでしょうか。恋人?
以上、ゼッパンドンはいいぞという記事でした。ゼッパンドンはいいぞ。
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