妻はかたこり族

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 妻は座り仕事も多く、本人も運動不足な人ウンドウブソカーを自称するぐらいなので、慢性的に肩が凝っています。全体的にはモチモチしていますが、肩だけはカチカチです。カッチカチやぞ。
 気が付いたときに「肩回しなー」「肩甲骨はがししなー」「水飲んで血流よくしなー」と声をかけてはいますが、それだけで改善するようなものでもありません。

 

 のびをしている時や肩甲骨はがしをしている時に少しだけ手伝うと「ぁぁぁぁ~」と言いながら「取れるー」「無くなるー」と訴えます。
 また、ほとんど力を込めずに指圧するだけでもやはり「ぁぁぁぁ~」と口から漏れています。「穴が空くー」と反応が返ってくることもあります。肩を押すと音の出るおもちゃのようになっています。


 しかし、何故か「肩は凝ってない」と否定する時があります。そういうときは、ポプテピピックの足つぼマッサージの一幕を真似て「ここを押して痛かったら、肩凝り人かたこりびとでーす」と言いながら指圧をすると「痛ッ……く、ない……!」と演技がかった反応でノッてくれます。


 また、肩甲骨あたりをほぐすときに
「お客さん凝ってますねー、不健康骨ふけんこうこつ
「肩甲骨の『けんこう』は『健康』じゃないから」
「健康ではないということはアンヘルシーか。アンヘルシーボーン」
 というようなやり取りをしたりします。夫婦間の謎の言語コミュニケーションです。何を言ってるかわからないでしょう。


 肩をほぐすにあたり、指圧だと痛くて受け付けないときは、肩たたきをします。肩たたたたたたたたき。ダメージが少ないように広い面積でたたく為に、手の甲でたたきます。たたきながら、テキトーな会話をします。
「お客さん凝ってますねー」
「そうー? 自分じゃわかんない」
「いやぁ、凝ってますよ、肩の造形。凝った造形だなぁ」
「自分も肩あるでしょ。おんなじだよ」
 というような会話が多いです。「肩凝ってるー。カタストロフィ」のパターンもあります。

 先日は肩こりの原因が話題になり、

「(肩凝りの原因は)パソコン仕事50パーセント、スマホいじり50パーセントってとこかな」
「じゃあ、スマホいじりやめなー。右肩だけでも楽になるよ」
「両方均等に楽になってほしんだけど!?」
「いや、50パーセントずつだから、左右片方ずつかなって」
 というような具合で、わたしがテキトーなことを言えば、しっかり丁寧にツッコんでくれる優しい妻です。とかく冗談やボケをそうと捉えて貰えないことが多いわたしにとって、取り繕わずふざけられる数少ない相手です。


 肩たたたたたたたきにどれほど効果があるのかはわかりません。少なくとも根治はできません。
 ですが、あくまでスキンシップの一環というようなものです。手をつないだり、腕を組んだり、ハグをしたり、ハグをしたまま持ち上げて「運ばれる―」と言われたり。そういったコミュニケーション、触れ合いのひとつなので、他愛のない話をしながら、何かの義務に追われずのんびりする時間と捉えています。
 ……という、オチも何もない話。

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