食事の場にて提供されたタラバガニを指して、同席した方が「カニ」と言ったことにお怒りの方がいらっしゃると伺いました。
学会やら研究やらの場でないのなら、一般に「カニ」とされているものをそのように呼ぶことに違和感はないと思うのですが、物事を堅苦しく考える方もいるのですね。大雑把なわたしにはわからない価値観です。
ヤシガニはヤドカリ、タカアシガニはカニ、ザリガニはエビ。
「カニ」でなくとも「カニ」の名を持つ生き物がいたってよいじゃないですか。名付けは人間側の勝手ですし。
話題のタラバガニに同じく、シロアリはアリではないですし、カモシカはシカではありませんが、それらの呼び方についていちいち目くじらを立てずともよかろうと思います。あ、ちなみに目くじらはクジラではありません。
生物について知識を深めるのが好きな方でもないのなら、これらは基本的な教養というよりは、雑学に分類されるものと思います。雑学ひとつをきっかけに怒るというのは、なかなか難儀です。
たとえば、ガンダムやエヴァを「ロボット」と呼べば、ファンの方々から「モビルスーツだ」「汎用人型決戦兵器だ」と言われることもありましょうが、それらの作品を知らない人からすれば、どれも同じく「ロボット」であり、見わけなどつきません。
アニメに興味が無ければ各「ロボット」の判別がつかないように、甲殻類に特別の興味がなければ「カニ」の見分けだってつきません。
もっと面倒臭く、ウルトラマンシリーズの「怪獣」で例えてみましょうか。
ゼットンは怪獣でなく宇宙恐竜。
バキシムは怪獣でなく超獣。
ノーバは怪獣でなく円盤生物。
ガタノゾーアは怪獣でなく邪神。
ガルベロスは怪獣でなくスペースビースト。
マガバッサーは怪獣でなく魔王獣。
アブソリュートタルタロスは怪獣でなく究極生命体アブソリューティアンの戦士。
……と、いちいち言われたら面倒でしょう。おっと、アカネくん睨まないでくれたまえ。
作品や設定の考察をする際の会話などでなければ、大雑把に「怪獣」でひとくくりにしてしまってよいものでしょう。「好きな怪獣を教えてください」と問われたとして、内心で「好きなのはデスフェイサーだけど、あれは電脳魔神であり兵器であり、怪獣じゃないしなあ」などとは考えないでしょう。
あるいは、「カニ」呼びに猛っている当該人物がTCGプレイヤーだった可能性があります。
たとえば、遊戯王において「時」と「場合」が違うように。「する」と「できる」に絶対的な差があるように。「ブラックフェザー」は「BF」ではないのに、「BF」は「ブラックフェザー」であるように。
日々の決闘の為に言葉のひとつひとつに注意を払う癖が染み付いている方だったのかもしれません。まあ、それを日常会話に持ち込むのは、コミュニケーションに差し障るので気をつけた方がよいですよ、と同情心が湧きますね。同病相憐れむ。
結論として、学術的な会話をするのでなければ、それも食品として提供されているのならば、タラバガニは「カニ」です。わたしがそう判断した。
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