口約束と「エンゲージリング」

その他





 昨今--というには、もう10年以上も続いていることですが--の仮面ライダーの玩具は、いわゆる「変身ベルト」のほかに、これに取り付ける小物の玩具を熱心に売っています。現行の「仮面ライダーガヴ」ならば、「変身ベルト ガヴ」と連動して個別に音声が鳴る「ゴチゾウ」が別売りになっています。この何十種類もある小物玩具を売って、1年を通して「集金」をすることで、翌年以降の映像作品に繋がっていくわけですね。

 そういった仮面ライダーなどの特撮ヒーロー作品および関連玩具をわたしが好んでいるのは、当ブログをお読み頂いています方々には周知のことかと存じます。しかし、幼少の時分に戦隊ヒーローやウルトラマン、仮面ライダーやその他特撮に親しんでいたのは確かなのですが、成長につれ、一旦それらを「卒業」していました。
 それが今はこの通りです。何がきっかけかといえば、実は妻(当時は入籍前)に影響されてのものです。


 交際を始めた頃、妻もまた友人の影響で、当時放送されていた「仮面ライダーウィザード」に熱を上げていました。これを妻と一緒に視聴する内に、過去に置き去りにしてきたものたちが熱を帯びていきまして、気づけば妻よりも熱心にそういった作品群を追うようになりました。

 その「仮面ライダーウィザード」における小物玩具は「ウィザードリング」という名の指輪型の玩具です。ウィザードは劇中でこれらの指輪を用いて魔法を使用するもので、作品に熱を上げていた妻も当然にウィザードリングを認知しておりました。
 そのウィザードリングの中に「エンゲージ」というものがあります。劇中設定はさておき、エンゲージの名前をもつ指輪……そのものずばり「エンゲージリング」です。
 このエンゲージリングの玩具が、妻への最初のプロポーズの際に渡したものでした。


 わたしにとっては、男女交際とはつまり結婚を前提としたものでした。かなり早いうちにそれを伝えたところ、妻も理解をしてくれていました。
 はじめての交際ということで、それなりに舞い上がっていた当時のわたしは、まあバカップルと呼ばれても反論できないぐらいの様子だったわけで「将来」のことをあれこれ話したりもしていました。その中で、婚約指輪等々の話題になったときに、妻からは「金属を身につけるのが苦手」「アクセサリー類は好きじゃないから、くれなくていいよ」と言われていました。

 
 さて、結婚を前提にした交際であるからには、プロポーズのようなものをしたいところです。しかし、金属を身につけるのがよろしくないとのこと。素材が違えばよいのかといえば、そもそも指輪もネックレスもその他アクセサリーも苦手で、もらって嬉しくないものときました。
 そこでおあつらえ向きだったのが、エンゲージのウィザードリングでした。指輪であって指輪でない物です。玩具ですから、常に身につけるようなものではありません。これの受け渡し自体に意味があるのです。
 せっかく思いついたのなら、品物を用意することになります。給料3ヶ月分には遠く及びませんが、バイト代でガチャポンを回し、どうにかエンゲージリングを手に入れました。
 妻もお熱だったウィザードの玩具でしたので、そういった意味でも喜んでもらえました。……その後に増えていくウィザードリングに埋もれていきましたが。


 この玩具を介して、口約束の婚約をしました。それから数年後に入籍をしていますので、しっかり履行されています。
 たぶん、指輪がなくても、何かが変わることもなかったとは思います。ですが、こうして思い出せる大事な記憶がひとつ出来たということには、意味があったのだろうとも思います。

 そんな、交際し始めの頃の、最初のプロポーズの話でした。
 ウィザードは思い出深い仮面ライダーです。妻に「いちばん好きな仮面ライダーは?」と聞くと、まず「ウィザードは殿堂入りだから外す」という答えが返ってくるぐらいには特別です。
 やはり、物や作品には思い出が結びつくものですね。

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