「趣味は読書です」

書籍感想





「趣味は読書です」
 このように口にして、教室内でクスクスと笑われたのは高校入学後の自己紹介のときのことです。特段、趣味と呼べるようなものがなかったので、しいて言うのならということで読書を挙げましたが、それで笑われるのなら教師に反駁してただ苗字だけ名乗っておけばよかったです。

 趣味と呼べるほどのものではありません。
 しかし、嫌いではありません。物語に親しむのは非常に好むところですし、他人に強制されるものでなければ知識を得ようとする行為を嫌ってはいません。

 わたしが終身不名誉ストーカーの汚名を背負った頃からでしょうか。物事に集中するということが以前に増して苦手になりました。そこから更に時間を重ね、勤務状況からくる心身の疲労も相まって、文章を読むということが不得意になりました。より正確には、1日に使用できる体力や集中力のリソースを日中の活動で使い果たしてしまって、娯楽としての読書に割ける余裕がなくなってしまうという状態が長く続いています。



 リソースがないから読めないということは、そのリソースさえ確保できれば本を読むことができるわけです。とはいえ、日々勤めに出る中で余力というものはほとんどありません。ブログの記事を書いてみたり、絵を描く真似事などをしてみれば、たちまちに集中力や体力を使い果たします。
 おあつらえ向きに、日々なにかしらを作ろうという気持ちがばっきょりべっきゃり折れてしまったので、創作活動(らしきもの)に使用するリソースを読書(といってもほとんど漫画ですが)に回してみることにしました。
 数か月~数年単位で積んでしまっていた漫画の新刊や、興味があって購入したのに手付かずだった本を読むのは非常に有意義なものです。特に「トクサツガガガ」と「100カノ」を読み直せたおかげでいくらか気持ちも安らぎました。
 ただ、1ヶ月では読みたい本のすべてを読み切ることもできませんでした。そして、今こうして記事が書かれているということは、出力にリソースが使われているということで、今日は続きを読めそうもありません。

 
 その程度の取り組み方でしかないので、やはり「趣味は読書です」というのはあくまで当たり障りのない「しいて言うのなら」の言葉になるでしょう。
 真に趣味として挙げるのなら、食費を捧げてまでの玩具への浪費、真面目に書いているブログが怪文書、活動者へのネット上でのつきまとい行為、対戦相手が妻しかいない環境でのTCG……と如何にも外聞が悪いものばかりです。


 なので、対外的にはあくまで「趣味は読書です」です。
 どんな本を読むのかと訊かれたら「実は最近忙しくて全然読めてないんですよぉ、へへへ」とでもいって煙にまけばよろしいでしょう。クスクスと笑う彼ら彼女らも放っておけばよろしい。わたしのことを好きになってくれる人にだけ心を割けばよいのです。

 年に何冊も読めません。
 そして読むのも俗なものばかりです。
 ですが、「趣味は読書です」。

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