
2025年にもなって今更ではありますが、南くんの恋人を読みました。
100カノの例の回(※)を読んで、そういえば南くんの恋人はドラマでしか見ていなくて原作未履修だったなと思い、手に取った次第です。※例の回ばかりの漫画ですが、例の回です。
作品のあらすじについては割愛いたします。
読んでみて、「こんな話だったのか」というのが一番の感想です。特に結末は、まあショックでした。
1冊で完結するというのはスッキリまとまっていてよいなと思いながら読み進めていった先に、あの最終回でした。やりきれないというか、なんというか。ショックで読後感に嘔気が伴うのは初めてかもしれません。
人間が小さくなるという非現実をリアリティラインに落とし込み、心情が細やかに描かれていました。ショックは受けましたが、読んでいてモヤモヤするようなところはありませんでした。
原因もわからず小さくなった恋人を、どうすれば戻るのかもわからないままにかくまって共に暮らすというのは、葛藤があって然るべきでしょう。
我が身に置き換えて、もし今日突然、妻が謎の病で寝たきりになり、「お世話」をしなければならないようになれば、わたしとて悩むことはあると思います。どのような綺麗ごとを並べても、まったく何も思わずに受け入れるということはできないでしょう。
また、恋人というのは性的な交流を持つのが自然という風に描かれていて、(時代の違いはあれど)そういった関わりを持たないわたしと妻との関係はやはり歪なのかもしれないと勝手に落ち込みもしました。
自分に照らしながら読んだ所為もあってか、全体を通してほっこりするようなことがなく、やや暗い気持ちで読んでしまいました。約1,000円をかけて気分を沈ませる体験をする意義とは……。
ただ、今後は「恋人が小さくなる展開」を説明する際の例えとして「『南くんの恋人』みたいに」と言う際の心的抵抗が少なくなりそうです。やはり、引き合いに出す作品は履修しておくべきですね。
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