中古玩具との良縁

変身玩具





 所用により、やや変則的となった週末の買い出しにて、普段行かない商業施設に行きました。時間と妻に許されたので、敷地内にあったセカンドストリートに立ち寄りまして、掘り出し物に出会いました。

 これといった目的物を定めずに中古品店に寄ったのなら、足が向かうのは玩具売り場です。「これは○○の当時品! こっちは部品がかけてるけど××年前の貴重なやつ!」と、まるで「オタク」のように熱の籠った解説を妻にしつつ、「これ□□のやつじゃん」とか「こんなの映ってたっけ? いつ使ってた?」と相槌をもらっていました。

 よい歳をしたオジサンが恥ずかしい……と、おっしゃりたいのもわかります。しかし、ジャンク品とはいえ90年代の戦隊のロボ(当時品)が売られているのです。興奮するのもお許しいただきたい。

 その中で、それほど稀少なわけではないものの、個人的にはとても心惹かれる中古品を見つけました。

 2019年の「騎士竜戦隊リュウソウジャー」の玩具です。当時、「番組終了間際のワゴンセールを待って買おう」と出費をケチっていたら、タイミングを見誤って買い逃していたものです。かといって、後年に新品を買う機会もなく、縁のないものと思っていました。

 そんな玩具が500円で売り場に置かれていたのです。
 箱や説明書はありませんし、キズやハゲがあり、如何にも中古品といった状態でした。わたしがコレクターならば、見向きすることもなかったかもしれません。そうではなく、「玩具が好き」ということと、それ以前に「ヒトよりモノが好き」なわけで、この出会いは十二分に心惹かれました。

 各所にある細かなキズや塗装ハゲは、前の持ち主にしっかり遊ばれた証であり、玩具として名誉ある姿です。そして、彼か彼女かを満足させ、役目を終えた後に捨てられることなく、次の行き場に向かうべく売られたというのは、大事にされていたモノだというのがわかります。

 そう思うと、なんだか感慨深くなってしまい、予定外の出費をするか否かに頭を悩ませることとなりました。まあ、悩む時間も楽しいものです。

 現物の写真があるということでおわかり頂けているでしょうが、最終的に我が家に迎えることに決めました。
 箱などが欠品しているとはいえ、あまりの安さに動作(音が鳴るかどうか)が不安でしたが、ジャンク品なら観賞用として飾ればよいかという判断しました。

 その他の掘り出し物と共に、買いました。急な出費が懐に響きましたが、相応以上の満足感を得ることが出来ました。帰路を辿る間、「ちゃんと鳴るかな? どうかな?」「持ち主として認められたら鳴るかな?」と興奮の余韻のままに妻に話しかけ、これにもやはり同じノリで返してくれて、入店から帰宅まで、まるっと楽しい買い物体験でした。

 帰宅後に清拭を行い、「今日から、オレがお前の新しいオーナーだ」と言葉をかけて迎え入れました。動作不良もなく、無事にコレクションのひとつとなってもらっています。武器を模した玩具であることを考えれば、キズやハゲも味になりますし、いったん役目を終えた玩具を迎えるというのも気持ちがよいです。

 9月にイマイチ前向きでない断捨離を行いコレクションを手放したことで、それなりに気分が沈んでいましたが、この500円の中古品が出会ってくれたおかげで、少しだけ気持ちが持ち直しました。良縁に感謝します。

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