「くねくね」について、気になる……というほどでもないのですが、まあ記事のネタになるかしらというような事がありました。
と、申しましても、残念ながらインターネット都市伝説に語られる「くねくね」の話ではありません。擬態語などのほうです。
少し前にカップ麺の「赤いきつね」のCM? か何かにアニメーションが用いられた際、「作品内で描かれている女性が『くねくね』している」というクレームが入ったというような話を聞きました。
くねくねという語から思い浮かべるのは、対象物が曲がりくねった状態なのですが、「女性が『くねくね』している」カップ麺の宣伝というのがどうにもよくわかりませんでした。いえ、CMのなかには、武富士のあれのように商品イメージと直接結びつかないような内容のものであったり、日清食品のあれやあれやあれやあれのように奇抜なものだったりがありますので、たとえば女性がくねくねと身をよじらせながら麵を食すという絵面も絶対にありえないとは言えません。
百聞は一見に如かずということで、メーカーの公式ツイッターアカウントから、該当の動画を視聴しました。視聴して抱いたわたしの感想としましては、「スレッタの人が『きつね』の宣伝をしている」というものでした。それぐらいです。
別段、「うおー! 赤いきつねが食べたくなった! うおー!」と強烈に購買意欲を駆り立てるようなSCPオブジェクトばりの異常性があるわけでなく、本題である「くねくねしている」というクレームを入れたくなるようなものでもありません。
少なくとも、作品内において、女性は「曲がりくねる、よじらせる」という意味では「くねくね」していませんでした。まあ、ラミアでもありますまいに、体をくねらせるということもないでしょう。
そうなりますと、しなをつくる様子を指した「くねくね」であるのでしょうか。しなをつくる……つまりは、あざとく、艶めかしく、(主に)男性に対して扇情的に媚びるような仕草をするということです。
そのように過度にセクシィな動画であるというのなら、たしかにクレームが入るのもわかります。ええ、しかし、はい。そのような描写も見られません。人並みにスケベ心を持つわたしから見ても、まったく扇情的なものを感じませんでした。わたしのフェチシズムが一般的なそれからやや外れている故かもしれませんが。
まあ、あの動画の女性が「くねくね」しているように見えるというのは、おそらく「うどん性愛者」のような方々なのでしょう。うどんそのものや、うどんを食する人間に性的な魅力を見出す方々でしょう。ウドンフィリアですね。世間は広いのですから、そういうのもあるのでしょう。多様性を許容しましょう。
ああ、しかし、それならばクレームを入れるというのはもったいないですね。わたしには分かりませんが、ウドンフィリアの方々には垂涎の、性的興奮を惹起させるような動画だったのではないのでしょうか。
或いは、ウドンフィリアを憎む方々が、ウドンフィリアにとっての魅力的なコンテンツをのさばらせまいとする活動……なのでしょうか。謎は深まります。
ところで、しなをつくるという意味での「くねくね」というのも、今日日あまり聞かない表現だなと思いました。仕事柄接することのある大正~昭和中期頃生まれの方々との会話の中でたまに聞くかどうかという表現です。
ウドンフィリアのツボを知り、古めかしい「くねくね」という言葉を用いるあたり、性的な文学に造詣の深い方からのクレームだったのかと想像します。
この手のクレームは「私はウドンフィリアです!」と喧伝するようなものです。
フェチシズムというのはあまり開け広げにせず、心に秘めてひっそりと、或いは少人数の同志としめやかに愉しむようなものというわたしの主義に反しますので、「私は○○に性的興奮を覚えて仕方ないので、この作品は性的に過ぎて不適切です!」と公衆の面前で叫ぶというのは理解しがたい奇行に見えます。
理解しがたくはありますが、人間、生きていれば紆余曲折を経て他者に理解されない境地に辿り着くこともあるのでしょう、と納得しておきます。
赤いきつねと「くねくね」

コメント