作品同士のコラボの好き嫌い

アニメ感想





コラボの好き嫌い

 食わず嫌いも多ければ、好き嫌いも多いわたしです。いえ、食べ物でなく、創作物についての好き嫌いの話です。
 作品単体に対しても好き嫌いがあるわけですが、作品同士でのコラボについては、なおのこと好きと嫌いが分かれます。

 大雑把な言い方をすれば、節操がなく、作品に対しての敬愛がなく、世界観を大切にしないコラボが嫌いなのです。非常に個人的かつ偏見に満ちた捉え方ではありますが。


 ドラゴンボールにアラレちゃんが登場したときのように、作者本人が作品同士をつなげるというのはファンサービスとして上質なものと思います。
 ネウロ⇔ムヒョロジのコラボや、ボーボボの頭から出てくる遊戯のように、作者同士の交流により生まれるコラボも素敵です。
 別作品のキャラクターが登場することに理由付けがされているディケイドやゴーカイジャーも大変好ましいです。


 スマホゲームなんかで見るコラボキャラの実装というのが、どうも好きになりません。
 お互いの作品同士の世界観を行き来できる設定があるのなら、十分納得できます。しかし、そういった設定・説明・理由付けもなしに、流行の作品のキャラクターがまったく違う舞台に登場するというのは、好みません。あちらこちらのスマホゲームに登場して、年代も場所も違うような世界で戦わされるキャラクターたちが、作中たしかに生きている「人格」であるはずなのに、販促の看板としての「道具」として扱われていることに愛を感じません。
 また、そのキャラクターが言わないようなセリフを発していたり、設定の整合性がとれていない描写がされていると、いよいよ面白くなくなります。

作品コラボあれこれ

 コラボは両作品に対してしっかり愛のあるものであってほしいです。

 随分むかしの話になりますが、ワンピースとトリコとドラゴンボールのキャラクターが共演するテレビアニメの特番がありました。
 お祭り企画としては、とてもよいものと思います。しかし、別世界の住人が一堂に会していることに説明もなければ、強さの尺度が異なるキャラクター同士が戦っているのに拮抗するという展開に文句を禁じ得ません。このキャラクターはこんなことを言わないだろうという場面もありましたし。
 いえ、頭からっぽでお祭り気分で楽しむにはよいのです。ただ、視聴を終えたあとに、普段通りにあれこれ考えると、いまいち愛のないコラボだったなあと思ってしまうのです。


 世界観やキャラクター設定を大切にするという面においては、FGOは信頼できるコンテンツです。10年近く運営しているスマホゲームですのに、自社コラボしかしていませんからね。そのコラボの内容や頻度の賛否はさておくとして。
 世界観設定や人物設定、作中の様々な理屈を大事にして、つながりのない作品同士をつなげるにも、きちんと理由を用意しているように見えます。好印象です。

 好印象ではありますが、一方で、世界観等を踏襲しているのに、いまいち飲み込めない部分もあります。


 この「飲み込めない部分」というのは、FGOの自社コラボにも言えることではあるのですが、昨今のウルトラマンやスーパー戦隊に対して、より強く感じるところがあります。
 これらの作品は、テレビ本編中に「コラボ回」が挟まることが多いです。ひとつ前の作品のキャラクターが助っ人に現れたり、周年作品やモチーフ関連の作品からゲストキャラが登場したりしています。
 別作品からの登場についての理由はある程度描写されますし、本編キャラクターに助言や強化アイテム等を残していくので、ただOBが顔を見せるだけではない、きちんと意味のある客演ではあります。
 しかし、現行作品が好きで視聴していたのに、急に知らないやつが現れて、活躍して、なにか盛り上がって話が終わるということに対して、形容しがたい気持ちを抱えております。あえて無理やりに喩えるのなら、高校に入ってから出来た友人と遊んでいる時に、相手方の中学時代の友人ご一行と合流してしまい、よくわからない身内ノリや昔話で盛り上がられて、疎外感を抱くような感じ……でしょうか。
 いえ、もちろん嬉しい気持ちもあります。10年前に観ていた作品のキャラクターが久しぶりに登場して、「あの頃」のように活躍する様には心を躍らせます。
 肯定したい気持ちと否定的に捉えてしまう気持ちが両立しています。
 どうしても、現行の物語に「客演枠」というノルマのように別の物語が挿し込まれる異物感が拭えません。単話のゲストでなく、その後ちょくちょく本筋に関係してくるのなら、その物語の登場人物として受け入れられるのですが……。

他作品の威を借りずにいてほしい

 流行の作品とのコラボに話題性や集客力があることは理解します。そして、商業作品においては、創作の良し悪しよりも、売り上げに繋がるか否かに重きを置かなければならないこともわかります。わたしだって社会人ですから。
 アニメ、漫画、ゲーム……創作物が氾濫し、消費者側が取捨選択を要する現代において、最初のとっかかりとして目を引くコラボは有用なものと思います。


 わたしの趣味の領域であるカードゲームでも、既に10年以上前から他作品のキャラクターを客演させるものがあります。
 そもそものコンセプトが複数の既存作品をカード化するというものであれば、それはコラボとは呼びませんし、何かを思うこともありません。しかし、カードゲーム独自の設定のようなものがあるところに別世界のキャラクターが紛れ込むのはやはりモヤモヤとします。1枚2枚ならよいのです。コンテンツまるごとがカテゴリとして参戦するようなコラボを好かないという話です。

 極端なたとえですが、遊戯王カードにポケモンが登場したら、違和感を覚えるでしょう。
 ポケモンカードをやっているのに、カードにデジモンが描かれていたら何とも言えない気分になるでしょう。

 商業において必要なこととわかってはいます。
 ですが、「このコンテンツは、よその人気作品にすり寄らないと売れないと判断しました」と喧伝するような節操のないコラボは、見ていて悲しくなります。
 

おわりに

 あれこれと書きましたが、なんやかんやと面白い物は面白いし、逆もまた然りです。最終的には受け取る側の感じ方次第です。冒頭の通り、単なる好き嫌いの話でしかありません。
 ですが、やはり最低限、コラボする両作品に敬意を持って制作してほしいというのは、強く思います。面白いコラボにしてほしい。ゲストを迎える側も、客演する側も、しっかりと活かされるものであってほしいです。

 雑に看板を借りるのでなく、丁寧に制作してほしいです。自分の好きな作品が、テキトーに扱われて嬉しいわけがないのですから。

 

 

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