憧れのヒーローに倣うのなら、「さあ、ティータイムだ」。
タイトル通り、紅茶を喫してみることにしました。記事にするほど大きな出来事ではないように思われるでしょうが、これまで進んで飲んだことのなかったものを飲もうというのですから、非日常の出来事ではあるのです。
なぜにわたしがこれまで紅茶に興味を持たなかったのかといえば、話は小学生の頃までさかのぼります。あれは小学校での職場体験学習の時のこと。たしか市営の図書館で1日過ごさせていただきました。
そのなかでの休憩時間で、職員の方が気を利かせてお茶を用意してくださいました。「紅茶でいい?」と聞かれ供されたのは午後の紅茶の赤いやつでした。
さて、当時の我が家で常飲されていたのは生協の京番茶(と母は言っていました)でして、紅茶や珈琲といった洒落たものを飲む機会がほとんどありませんでした。母は好んで温かい紅茶を飲んでいたので、幼少の時分には少し飲ませてもらったことはありましたが、なにぶん「飲み物といえば冷たいもの」という固定観念のあったわたしには合いませんでした。なので、紅茶というものをよくわからないまま、図書館で提供されたものを口にしました。
とても、甘かったのです。
お茶が甘いなどとは露とも思わず。飲んでみて、それが甘かった時の衝撃たるや。お茶であるのならすっきりと、あるいはさっぱりと飲めるものという思い込みに反した味覚に困惑しました。脳の処理が追い付かないという体験です。
この妙に甘ったるいお茶を名乗る何かをコップ1杯分飲み干さねばならないのか、と。しかし、「飲める」と答えた以上は、他者が己に気を遣って用意してくれたものである以上は、頂かないわけにはいきません。なんとか飲みました。しかし、あの甘いお茶は、口には合いませんでした。
こうしてはっきりと記憶に残る形で、紅茶への苦手意識を覚えてしまって以来、進んで飲むということはしませんでした。
それがなぜ急に「飲んでみようか」などと言いだしたのかといえば、こちらはつい最近の事。仕事でお邪魔した先で紅茶を頂いたのがきっかけです。
上記の図書館での出来事もそうでしたが、わたしは基本的には用意して頂いたものは残さないようにしています。母の教育によるものではありますが、それに加えてアニメ版の「明日のよいち!」でのワンシーンから影響を受けて以降はより意識するようにしていました。そのような具合で、仕事先で出されたお茶は基本的に頂きます(社則に反してはいますが、まあ不良サラリーマンなので)。あまり得意でない温かい飲み物も、言ってしまえば不衛生な台所から運ばれてくる飲み物も、そして苦手意識をもつ紅茶でも、です。
先日、数年来の関わりになる方が出して下さったのをきっかけに、もしや紅茶もよいものなのではないかと心変わりしました。
なんとかベリーとレモン? のお茶だそうで、香りのよさもそうですが、しっかりした酸味があるのがよかったです。「甘いお茶」という認識で苦手に思っていた紅茶のイメージを塗り替えるものでした。もちろん、すべての紅茶が甘いわけではないのはわかっていましたが、しかしわざわざ進んで飲もうという気持ちは起きなかったのです。それを酸味のあるさわやかさで塗り替えてくれました。
その際にティーポットを用いていたのを拝見して、「ティーポットってこうやって使うのか」と学習した為、「案外気軽にできそうだ。これなら不器用な自分にも用意できそうだ」と思えたのも障壁が解消される一因でした。
それではティーポットでも用意しようかしらと考えましたが、過去に母が紅茶を飲んでいた際にはティーポットなど使っていませんでした。どうしていたかを思い出し、ティーパックを使用するのならそもそもポットは不要なのではというところに辿り着きました。
わたしが紅茶について知っていることはほとんどありません。先述のように進んで飲むこともありませんでしたので。「知っている」と思っている2つのことも正しい知識かと問われると、自信はありません。
その1つは、中学か高校の歴史の授業のなかで聞いた「紅茶の貿易の際に船上で発酵してしまった茶葉を用いて淹れたものからウーロン茶が生まれた」ということ。ウーロン茶は紅茶の親戚であると。
もう1つは、たしかアニメ「ONE PIECE」のどこかの場面からの知識で、「紅茶を淹れる際には温度が大事だから事前にカップを温めておくとよい」ということです。
後者の知識については、我が天使が同様の智慧を授けて下さったので、記憶違いではなかったようです。
学校の授業にしろ、アニメ・マンガにしろ、当時に興味のなかった紅茶の知識まで与えてくれるのですから、学びの機会として非常に大事なものですね。
カップを温めるのがよいことを教えてくださった天使に曰く、ティーポットがなくともカップに蓋があればよいとのこと。紅茶に興味をもったタイミングでこれらの発信があり、とてもタイムリーでした。迷える人類の道行きを照らして下さるあたり、我が天使はやはり天使ですね。
して、カップの蓋というものが都合よく手元にあるのかといえば……ありました。正確には蓋付のマグカップです。
10年以上前に買ったまま、「蓋付のマグカップってなにに使うのだろうか」としまい込んでいたプリキュアのマグカップです。当時のわたしは「オタクを志すのなら、好きなキャラクターの描かれた日用品のひとつも持っておくべきでは」と形から入ろうとして購入していたのです。ずいぶんと待たせてしまいましたが、長い時を超えてついに出番がきました。よくやりました、10年以上前のわたし。
冒頭の繰り返しにはなりますが、「さあ、ティータイムだ」。
お茶請けにブルボンのセブーレを用意。肝心のお茶は何を買えばよいのかわからず、ドラッグストアに売っていた中で個あたりの値段が安めな複数種類の味? 香り? の入ったアソートパックのようなものを買ってきました。お茶請けは美味しかったので、ブツ撮りの前になくなりました。食欲の冬ですね。
本題の紅茶ですが、天使の教えの賜物か、手に取った商品がよいものだったのか、その両方か、非常に香りがよいものでした。熱い飲み物は苦手なので、淹れたてはちびちびとしか飲めませんが、これがかえってゆっくり楽しめてよいですね。
「これが創作物でよく名前だけは聞いていたリトル……ではなく『アールグレイ』か」と思いつつ、喫しました。
お湯でカップを温める→カップに新しいお湯とティーパックを入れる→推奨されている時間を待つ→熱いので少しずつ飲む、と手軽ながら工程が多くあるのがよいです。マルチタスクのできないわたしとしては、お茶を用意することに意識を向ける為に作業や仕事から意識が離れ、気分転換の方法のひとつとして有用になりそうです。
体が温まるというのも何かしらのリラックス効果を得られそうです。常飲している冷水に比べればコストはかかりますが、冬の間ぐらいは温かい飲み物で暖をとるというのも、よいですね。
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