属性ひとつでヒトは判断できない

その他





 ステレオタイプというものがあります。なんとなくのイメージ、固定観念というものです。ドイツ人ならビールとソーセージが好きだとか、日本人は皆ニンジャだとか。
 これを読んでいる日本人かつ非ニンジャのあなたなら、それが真実に即さない偏見であることはお分かり頂けると思います。イメージを共有する為には有用な場合もありますが、その固定観念に頼り切ったコミュニケーションというのはよろしくありません。

 実態を知ろうともせずに偏見だけを信じるコミュニケーションというのは、自身の価値観を相手に投影するだけの一方通行の発信でしかありません。ひと昔ふた昔前で言うところの「オタクは根暗な犯罪者予備軍」というような蔑視の源です。
 

 ヒトというものは複数の属性が混ざり合って構成されているものです。
 わたしでいえば、ホモサピエンスであり、男性であり、日本に住んでおり、性格が悪く、仕事はなにをしていて……と構成要素を書くだけでひと記事分の文字数を稼げてしまいそうなぐらいには属性があります。

 ですので、属性ひとつをとって、他人をあれこれと決めつけることはあまりに浅慮です。「あの人は○○だから××だ」と発言するのは、情報を整理・処理する能力が著しく低いのだと喧伝しているように見えます。
 
 最近インターネット上で見かけた言論を例に挙げるなら、「男だから○○だ」「女だから××だ」というものでしょうか。性別という属性ひとつで物事を判断しようとする単細胞ぶりです。
 もちろん、これを他人に向けず、自身に対して用いるのならよいのです。「男に二言はない」とか「おーとこならぁぁぁぁぁだーれかのたーめにつーよーくなーれ!」とか、自身を律したり鼓舞したりするには、とてもよいと思います。
 ですがやはり、他人に向けるのはよろしくありません。コミュニケーションの放棄、害ある独り言、物事について考える力がないというアピール……子供ならまだしも、よい歳をした大人には恥ずかしい振る舞いです。

 男性だろうと女性だろうと、性別以外の属性の複合によりいくらでも人格・特徴は変わるものです。これが分からないというのは、複数条件を参照するIFS関数が使えない古いエクセルファイルを連想します。



 性別という広い属性を例に出してしまいましたが、より狭い属性であってもステレオタイプというのは、やはり必ずしも真実であるとは限りません。
 当ブログらしく(?)「仮面ライダー」という属性が持つイメージで例えましょう。

・仮面ライダーは愛機のバイクを駆る。
→愛機が自動車や戦闘機であったり、そもそもマシンに乗らないライダーも多い。
・仮面ライダーの必殺技はキックである。
→キックすることはできても、武器を使った技がメインであったり、足が無くキックのしようが無いライダーもいる。
・仮面ライダーは改造人間である。
→そうでもない。むしろ改造人間の方が少数派。
・仮面ライダーは変身ベルトを用いて変身する。
→腕輪だったり聖剣だったりで変身するライダーもいる。
・仮面ライダーは「変身」という掛け声で変身する。
→大体は「変身」だが、「アーマーゾーン!」や「ア゛マ゛ソ゛ン゛ッ゛!」や「KAMENRIDER!」もある。
・仮面ライダーは人間の自由と平和を守る為に戦う。
→人間の自由と平和を脅かす側のライダーもいる。
・仮面ライダーは藤岡弘、氏である。
→部分的にそうではありますが、すべての仮面ライダーが藤岡氏というわけではありません。

 ……このように「仮面ライダー」という人間全体から見てごくごく少数派の属性の中でさえ、特徴がばらけてステレオタイプが当てはまりません。
 


 わたし自身、「教会関係者」という属性を持っていても「隣人を愛する」人間ばかりでないということを前職場で経験しています。
 ひとつの属性はヒトを判断する材料の一部でしかありません。一部を見て全体を知った気にならないようにしたいところです。
 

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