大人に相応しい趣味とは何なのか--。
10代の頃からわたしを悩ませていたテーマではありますが、いざ「大人」になってみて出した答えは「そんなの個人の勝手だろう」というものでした。
そのようなことを考え始めたのがいつ頃からだったか、また何をきっかけにしてのことだったか。はっきりとしたことは覚えていません。しかし、「今の自分が好きなものは、大人になったら捨てないといけないのだろうか」とか「じゃあ、世間に認められる大人の趣味って何なんだろう」ということを、ぐるぐると考えていました。
大人の趣味とは何か。
食や旅行といった「体験」、スポーツや芸術といった「自己表現」、あるいは車やブランド品などの「高価な買い物」あたりは、何となくそれらしいものに思います。
一方で、当時のわたしの趣味といえば、ラノベ・ギャルゲ類です。同じく物語を嗜むにしても、大人なら、もっと別のジャンルに傾倒すべきなのでしょう。その後に年齢を重ね、折々のきっかけにより、トレーディングカードゲーム(小中学生以来の再燃)や特撮ヒーロー趣味(未就学児以来の再燃)と増えて(変わって)いきました。
ギャルゲにしても、カードやヒーローの玩具にしても、どれもこれもいわゆる「オタク趣味」で、世間からの風当たりは強いです。だからといって、世間様という他人の目を気にして、自分の好きなものを変えるということはしません。というか、できません。他人に何を言われようと気持ちを捨てられないのが、「好き」というものでしょう。
幸いにして、現在は職場などで、「趣味は?」「休みの日は何をしている?」というような質問をされた際には「ブログを書くのが趣味です」という隠れ蓑があります。嘘はついていません。何を書いているのかと、突っ込んだ話をされたら「ふふふ、秘密です」で誤魔化せますし。
先日、ネットニュースでみたのですが、平成女児? の間でシール帳なるものが流行しているとか何とか。
今の流行というのは、正しい表現ではないでしょう。より正確に言うのなら、「この歳になって好きになったもの」ではなく、「昔手に入らなかった好きなもの」で、ずっと好きだったけど手を出せなかったものなのだと思います。とてもよいことだと思います。
わたしの趣味の範囲でも、似たような例はあります。
たとえば、20~30年前の特撮ヒーローの玩具が、現代水準のレベルで新規に発売されることがあります。現在大人になって、子どもの頃に欲しかったけど手に入れられなかった玩具を買えるようになった人をターゲットにした商品たちです。直近では、2005年の「魔法戦隊マジレンジャー」や「仮面ライダー響鬼」の変身アイテムが、高価格帯の玩具として受注中だったりします。20年前に子供だった人も、今や社会人として「欲しかった玩具」を買えるようになっていると見越してのものでしょう。
平成女児のシール帳だったり、かつての子どもに向けたヒーローの玩具だったり、これらは「大人に向けた商品展開」です。つまり、少なくとも企業は「大人の趣味」として設定しているのです。
子どもの頃に手に入らなかったものに夢中になって、辛い現実から一時の退避をするというのは、未来でなく過去に視点を置いているようで、あまり前向きなことではないようにも思えます。オトナ帝国に囚われかけているような感じがします。
しかし、世間に広く「供給」があるのなら、現代の風潮がそのようになっているということでしょう。時代の移り変わりにより、「大人の趣味」というものも変わってきているのかもしれません。
まあ、結局のところ、明かすか秘めるかはともかく、個々人が好きなものを楽しめるのがいちばんです。大人だとか子どもだとか、時代だとか何だとかは関係なく、自分の好きなものは、そのまま好きでいてよいのです。
コメント